退職まであと2カ月。
いよいよ、私の業務を ボスと事務職の2人 に引き継ぐことになった。
「私の仕事なんて、そんなに大したことないよな」
そう思っていたけれど、 いざまとめてみると意外と多い。
ボスは看護師としての管理業務で忙しいし、
事務職の人たちが引き継ぐとはいえ、これ全部スムーズに伝えられるかな…?
そんな不安を抱えながら、引き継ぎが始まった。
「こんなにやってたんですね」と驚かれる

説明を始めると、 3人の表情が変わっていくのがわかった。
「これ、全部リズさんがやってたんですか?」
「けっこうな量ですね…」
たしかに、看護師業務と並行してやっていた事務仕事は多かった。
でも、自分の中では いつの間にか習慣になっていたし、そこまで負担には感じていなかった。
だけど、いざ 他の人に説明しようとすると、思った以上にやることが多い。
私自身、「あれ、私こんなにやってたんだ?」と 逆に驚く始末。
ボスの「ごめん」でも私はそこまで気にしてなかった
ボスは、申し訳なさそうにこう言った。
「全部任せきりだったね…ごめん。」
でも、私は そこまで気にしていなかった。
ボスはボスで忙しかったし、
私自身、やることが増えても「まあ、そんなもんか」と思ってやっていたから。
看護職のボスのことは尊敬していたので、サポートしたい気持ちはあったし
むしろ、ここまで 私に任せてくれていたこと に、ちょっと誇らしさもあったのは事実。
事務職の人たちの「評価」に、ちょっとモヤる
でも、ちょっとだけモヤっとしたのは 事務職の人たちの反応。
「リズさん、これ全部一人でやってたんですね…」
「電話対応してるだけだと思ってました」
つまり、ちゃんと把握してなかったということですね。
やっぱりな。

もちろん、今さらどうこう言うつもりはないし、
私だって「この仕事は大変だ!」と思ってやっていたわけじゃない。
ただ、私をはじめ看護師みんなの給料をガッツリ下げる前に、きちんと知っておいてほしかった。
評価を下す立場の人たちが どんな仕事をしているのかも知らなかった というのは、どうなんだろうね。
もう、辞めるからいいけど。(投げやりな気持ち)
もう辞めるし、気持ちを切り替えた
イライラしそうになったけど、 もう辞めると決めたし、そこはスルーすることにした。
無言で、微笑む。
今さら「大変だったんですね」と言われても、
給料が元に戻るわけでもないし、私が続けるわけでもない。
次に引き継ぐ人が困らないように、しっかり説明していこう。
それが 今の私にできること。
「これ、一日じゃ無理だね…」
説明が終わる頃には、3人とも 無言になっていた。
「これ、2カ月って、足りるかな…?」
事務職の2人は途方に暮れた顔をしていた。
そんな様子を見て、私はちょっと 複雑な気持ち になった。
私の仕事、そんなに 「引き継げるのか不安」 って思われるくらいだのかな?
そんなことはないと思うんだけど。
ただの事務仕事や電話応対ではないということは、わかってもらえたようです。
「リズが辞めるのは仕方ない。腹くくってひきつぐ」
一通りの業務説明が終わった後、ボスがポツリとつぶやいた。
「ずっとリズが辞めたら、どうなるんだろう…って思ってたんだよね。でも、もう腹くくったから。全部教えてね!」
それを聞いたとき、さすがだなと思った。
不安そうな(私の給料を下げた)事務職と比較して、本当にボスは心強い。
さすがすぎる。

ボスの前向きな発言で、私の心も軽くなった。
ここから、週に2回、二カ月かけて少しずつ業務を教えていくことになった。
仕事の成り立ちや契約内容、どこから指示が来ているのか、だれと連携していくのか。
しっかりと引き継いでいこう。