ボスに「辞めます」と伝えた翌日から、私は有給休暇を取り海外旅行に出かけた。
たまたま年度末の契約更新の時期と重なっただけとはいえ、見事な言い逃げだと思う。我ながら、ずる過ぎる。

「仕事にやりがいはあるし、旅行でリフレッシュできたら辞めたくなくなるかも。」
そう思っていた。
でも、旅行の帰りの飛行機で気づいたのは、
「私はすでに退職することを前提に動いている」 という事実だった。
5年ぶりの海外旅行
久しぶりの海外旅行は、本当に楽しかった。
・ビーチでのんびり
・プールではしゃぐ子どもたちを見守りながらリゾート気分
・美味しいものを食べて、ショッピングも満喫
最高の時間だった。
仕事のことなんて、しばらく忘れていた。
子どもたちも夫も笑顔で、「楽しいね~!!」と何度も言い合う幸せな1週間だった。
でも、楽しい時間はあっという間に終わる。
帰りの飛行機に乗り込むと、ふと頭の中に浮かんだのは…
「引継ぎ、どう進めよう?」
リゾート気分の余韻に浸るどころか、
私は帰りの飛行機で 退職後のことを考えていた。
・引き継ぎ資料はどこまで作ればいい?
・誰に何を任せたらスムーズに進む?
・ボスともう一度、退職の時期を最終調整しないと…
考え始めると、止まらなかった。
「…あれ?」
ここでやっと気づいた。
「私、もう気持ちが固まってるじゃん。」
職場に戻りたいわけじゃなかった
仕事自体は嫌いじゃない。
むしろ、やりがいも感じている。
だからこそ、旅行前は 「リフレッシュしたら気持ちが変わるかも?」
なんて、少し期待していた。
でも、現実は違った。
リフレッシュしても、
「また仕事頑張ろう!」という気持ちにはならなかった。
むしろ、冷静に 退職に向けての準備を進めようとする自分 がいた。
「このままこの職場にいても、状況は変わらない」
そう確信した。
家に着いてスーツケースを片付けながら、夫にぽつり。
「やっぱり、辞めるね。」
夫は驚くこともなく、落ち着いた声で答えた。
「うん。リズは一回決めたら意見を変えないだろうと思ってたよ。それでいいと思うよ。」
旅行に行く前から、
私の中で答えは決まっていたのかもしれない。
リフレッシュしたら辞めたくなくなるかも?
…そんなことはなかったのでした。