仕事を辞めると決めて、家族には伝えた。
でも、もう一人、報告しておきたい人がいた。
それは、父。
私は昔からお父さんっ子で、今でも父のことをとても尊敬している。
父は長年、人事の仕事をしていて、3年前に定年退職。
それからは母と一緒にのんびり暮らしている。
うちの子どもたちも父になついていて、帰省するといつも可愛がってもらっている。
私は月に一度、日帰りで実家に帰るようにしているけれど、仕事が忙しいとなかなかゆっくり話す時間がとれない。
だから、働き方や職場の悩みを相談するときは、たいてい電話だった。
「人間関係での退職はやめなさい」そう言っていた父
これまでも何度か職場の悩みを話したことがあったけれど、父の考えは一貫していた。
「人間関係が理由で辞めるのはやめなさい。」
「どの職場でも、人間関係は大なり小なり問題がある。今の職場が嫌だからって辞めても、次の職場でもまた嫌な人がいたらどうする?いつまでも転職を繰り返さなきゃいけなくなるぞ。」
確かにその通りだ。
人間関係って、転職活動でなかなか見えないところでもある。
そう言われていたから、父に「辞める」と伝えるのはちょっと勇気がいった。
反対されるかもしれない。「もう少し頑張ってみたら?」と言われるかもしれない。
でも、もう決めたことだったし、父にはきちんと話しておきたかった。
意を決して、父に電話をする
「もしもし。」
電話をかけると、いつもと変わらない穏やかな父の声がした。
「お父さん、今ちょっと大丈夫?」
「うん、どうした?」
少し緊張しながら、「実は…仕事、辞めようと思うんだ」と伝えた。
父は、しばらく黙った。「やっぱり反対されるかな…?」とドキドキしながら待っていると、意外な言葉が返ってきた。
「たしかに、最近の職場の体制はしんどかったと思う。」
「えっ…」と思わず言葉が詰まる。
てっきり「もう少し考えろ」と言われると思っていたのに、まさかの肯定。
「もう40代だし。自分で考えて出した結論だろ?いいと思うよ。」
この言葉を聞いた瞬間、なんだか安心して、ちょっと涙が出そうになった。
この年になっても、父に相談する娘でごめん
40代にもなって、仕事のことで親に相談するなんて、少し情けないかなとも思う。
でも、やっぱり父の言葉には重みがある。
ずっと会社員として働き続けた経験があり、定年まで勤め上げた父だからこそ、説得力がある。
しかも、人事だったから転職についての知見も豊富だ。
だからこそ、「いいと思うよ」と言ってもらえたことが、本当に嬉しかった。
「この環境で頑張るべきなのか」「辞めるのは甘えじゃないのか」と何度も迷っていたけれど、父に背中を押してもらえたことで、「もう迷わなくていいんだ」と思えた。
「お父さん、ありがとう。」
そう言うと、父は「おう」とだけ答えた。いつもあまり多くを語らない父らしい。
支えてくれる人がいるから、私は前を向けるのかも
電話を切った後、ふっと肩の力が抜けた。
家族も、そして父も、私の決断を受け入れてくれた。
それだけで、すごく安心した。
もしかしたら、家族が応援してくれるくらい、今の私の職場はヤバイのかもしれない。
もちろん、辞めた後のことをしっかり考えなきゃいけないし、転職活動は簡単じゃない。
だけど、「ちゃんと自分で考えた結果なんだから、大丈夫」と、前向きな気持ちになれた。
「よし、次の職場を探そう。」
そう思えたのは、家族と父のおかげだった。
次は、実際に転職活動をスタートさせる話を書いていこうと思う。
もし同じように悩んでいる人がいたら、一緒に考えていきませんか?